2024/01/05
「昔別の医院で治療したところが噛むと痛い」とご相談いただきました。
拝見したところ、被せ物が入っている右下の奥歯(第1大臼歯/6番)に「根分岐部病変」が認められました。
下の奥歯は複数の根があり、その分かれ目に細菌感染が起きて歯を支える骨が溶けてしまうのが根分岐部病変です。
根分岐部病変は、歯周病によるものと歯の根の感染が原因のものがあります。診断のために「アクセサリーポイント(ガッタパーチャー)」と呼ばれる細い棒を使用し検査したところ、炎症は根の先まで及んでおり、根の感染が原因であることが確認できました。
この歯は以前、根の中をきれいにする「根管治療」を行っていましたが、それが不十分だったことが今回の感染の原因と考えられます。
患者様は「再発しないように治療したい」とご希望でした。
歯科用のマイクロスコープを使用した精密な根管治療で、根の中を再びきれいにし感染と痛みを解消する治療をご提案しました。
マイクロスコープによって肉眼では観察が難しい部位に対しても正確な処置が可能になり、感染の再発リスクも低くなります。
治療に同意いただき、最初に古い被せ物を取り外しました。
歯を補強するための金属製の「ポスト」が根に入っていましたが、長くて太さもあり、無理に外すと歯が割れる可能性があります。ポストはそのまま温存し、根管治療が不十分だった1本の根に対して、精密根管治療で感染組織を丁寧に取り除き、薬を詰めました。
痛みが消失したことを確認してから、しなやかな材質の「ファイバーポスト」を用いて土台を構築し、自然な白さのセラミックの被せ物を装着しました。
約190,000円
【内訳】
精密根管治療(1根管):30,000円
ファイバーポスト:40,000円
セラミックの被せ物:120,000円
右の奥歯で痛みもなく噛めるようになりました。
患者様にも「食事のときも痛くない。丁寧に治療してもらえて良かった」と大変お喜びいただきました。
現在も定期検診でご来院いただいており、根の感染の再発もなく経過しています。
・まれに根管治療後も再治療、外科手術、抜歯などの処置が必要となる場合があります
・治療中まれに器具の破折、被せ物や詰め物など修復物の損傷、歯の破折が起こる場合があります
・治療中や治療後に不快症状が出たり、治療後に痛みや腫れなどが生じたりする可能性があります
・噛み合わせや歯ぎしりが強い場合、セラミックが割れる可能性があります