2024/03/04
「右上奥歯が痛い。顎関節症もあり、あまり口が開かない」とご相談いただきました。
痛みが出ていた右上奥歯(第1大臼歯/6番)は以前、虫歯治療として歯の神経や細菌感染した組織を取り除く「根管治療」をされていました。
歯ぐきも腫れていたため詳しく検査したところ、歯の根が割れ、その周りには炎症も見られました。
根が割れた歯は治療しても残すことが難しく、放置すると炎症が広がるため抜歯が必要です。
左上下の奥歯2本(第2大臼歯/7番)も同様に状態が悪く、抜歯が必要と診断しました。
また、前歯やそのすぐ後ろの歯など9本には、歯の根の先に膿の袋が認められました。
膿の袋は放置すると徐々に大きくなり歯を失うリスクが高まるため、歯を残すには根管治療で歯の内部を綺麗にする必要がありました。
あごの関節に痛みが出る「顎関節症」は、一般的に噛み合わせの歪みが原因とされています。
今回の患者様の場合、被せ物や詰め物がたくさんあり、それぞれが正しく噛み合っていなかったためバランス良く噛むことができず、あごの関節に負担がかかっていると診断しました。
残すことが難しい右上奥歯と左上下の奥歯は、抜く必要があることを丁寧に説明しました。
抜歯後、左側は上下の歯がしっかり噛み合うようになり、しばらくは治療せずに様子を見ることにしましたが、右上奥歯は下の歯との噛み合わせを回復させるために歯を補う必要があります。
歯を補う方法として、あごの骨に人工の歯根を埋めてその上に歯を装着する「インプラント治療」を提案したところ、ご希望いただきました。
なお、インプラント治療をするにはあごの骨の量が不足していたため、人工骨を利用して骨を増やす「GBR」を行う必要があることもお伝えしました。
膿の袋が認められた前歯を含む歯9本には、マイクロスコープを用いた精密な根管治療で歯の内部を清掃する施術を提案し、同意いただきました。
マイクロスコープの使用により通常は見づらい部位でも適切な処置が可能になり、膿の袋が再発するリスクも低減します。
また顎関節症の改善のために、奥歯を高く前歯も長くしてバランスの良い噛み合わせになるよう、お口の中の不適合な詰め物や被せ物を全て作り直すことをおすすめし、了承いただきました。
これらの治療は都度、患者様に確認や説明を行いながら段階的に進めていきました。
約2,000,000円
【内訳】
精密根管治療
被せ物治療
インプラント(GBR込)
治療部位の痛みや炎症の再発などもなく、お口全体が健康的になりました。
噛み合わせが改善したことで顎関節症も解消され、お口も十分開くようになっています。
患者様にも「悪いところをしっかりと治療できて嬉しい。痛みなく噛めるようになり、快適に過ごせている」と大変お喜びいただきました。
現在も定期的なメンテナンスで通院いただいています。
・まれに根管治療後も再治療、外科手術、抜歯などの処置が必要となる場合があります
・インプラントや抜歯は外科手術のため、術後に痛みや腫れ、違和感を伴います
・メンテナンスを怠ったり、喫煙したりすると、お口の中に大きな悪影響を及ぼし、インプラント周囲炎などにかかる可能性があります
・糖尿病、肝硬変、心臓病などの持病をお持ちの場合、インプラント治療ができない可能性があります
・高血圧、貧血、不整脈などの持病をお持ちの場合、インプラント治療後に治癒不全を招く可能性があります