2024/04/20
「前歯を全体的に治したい。また、左の奥歯が食べ物を噛むと痛いので診てほしい」とご相談いただきました。
拝見したところ、上の前歯のうち1本(右中切歯/1番)には被せ物、残りの4本(左右側切歯/2番、左中切歯、左犬歯/3番)には白い詰め物が装着されていましたが、変色や劣化が見られ、さらに左の側切歯の内側は歯が欠けていました。
左下の奥歯には欠損した歯(第1大臼歯/6番)を補うため、前後の歯(第2小臼歯/5番、第2大臼歯/7番)を土台に3本の歯を連結した金属の被せ物「ブリッジ」が装着されていましたが、こちらも劣化が見られ、歯と被せ物がぴったりとフィットしていない状態です。
以上の前歯5本とブリッジの土台歯2本は、歯の内部が細菌感染し根の周りに炎症が起こる「慢性化膿性根尖性歯周炎(まんせいかのうせいこんせんせいししゅうえん)」が生じており、歯の根の先には細菌が溜まる「根尖病巣」が進行し痛みが出ていました。
慢性化膿性根尖性歯周炎は、虫歯や外傷などで神経が死んでしまった歯や、過去に行った神経の処置で感染源がしっかり取り除けていなかったり、根の先まで薬が詰められていなかったりすることで生じます。
痛みの原因である炎症を抑えるために、慢性化膿性根尖性歯周炎を改善し、前歯の見た目を整える治療が必要と診断しました。
慢性化膿性根尖性歯周炎を改善するためには、歯の内部の感染した組織を取り除く「根管治療」を行う必要があるとお伝えしました。
左下奥歯の欠損部はあごの骨に人工の歯根を埋める「インプラント治療」、前歯5本と奥歯2本は根管治療後に被せ物で修復する方法を提案し、同意いただきました。
まず右上の中切歯の被せ物と左下のブリッジを取り除いてから、肉眼では見えない小さな患部まで拡大できる歯科用顕微鏡「マイクロスコープ」を使用する精度の高い根管治療を行い、治療後に再び細菌感染が起こらないように密封します。
左下の欠損部にインプラントを埋入し、インプラントと骨がしっかり結合したあと、インプラントの頭部分を歯ぐきの上に出して被せ物を装着できるよう整えました。
新しい被せ物は、患者様から「見た目をきれいにしたい。再発もしたくない」との希望から、前歯は自然な色味があり劣化しにくい「セラミック」、インプラントの被せ物は白く強度に優れた「ジルコニア」、左下の奥歯はガラスセラミックを強化した素材「e-max」で作製し装着して、治療を終了しました。
約2,000,000円
歯の痛みや炎症が改善し、経過は良好です。新しい詰め物を装着した歯は、周りとなじむ美しい仕上がりになりました。
患者様には「歯を見せて笑えるようになってうれしい」と大変お喜びいただきました。
現在は、メンテナンスで定期的にご通院いただいています。
・まれに根管治療後も再治療、外科手術、抜歯などの処置が必要となる場合があります
・メンテナンスを怠ったり、喫煙したりすると、お口の中に大きな悪影響を及ぼし、インプラント周囲炎などにかかる可能性があります
・糖尿病、肝硬変、心臓病などの持病をお持ちの場合、インプラント治療ができない可能性があります
・硬い素材の場合、他の天然歯を傷つけることがあります
・噛み合わせや歯ぎしりが強い場合、セラミックが割れる可能性があります
・一部の治療を除き、自費診療(保険適用外治療)です