60代女性 温存が難しい歯を抜いてインプラントや親知らずの移植で噛み合わせを改善した症例

医院ブログ

武内歯科医院|横浜市磯子区の歯科・歯医者

60代女性 温存が難しい歯を抜いてインプラントや親知らずの移植で噛み合わせを改善した症例

治療前

治療後

年齢と性別

60代 女性

ご相談内容

「奥歯に入れているブリッジがグラグラ揺れているのが気になる」とご相談いただきました。

カウンセリング・診断結果

拝見したところ、右下奥歯の3本のうち真ん中の歯が欠損していたため、両隣の歯を土台として人工歯を橋渡しする被せ物「ブリッジ」が装着されていました。しかし、土台になっている2本の歯は細菌感染により歯ぐきが炎症を起こす「歯周病」でした。
残念ながら、症状が進行して奥歯周囲の骨量が少なくなり、歯ぐきがやせたことが原因でブリッジがグラグラとしています。

また、左上奥歯には金属の被せ物「メタルクラウン」が装着されていましたが、土台の歯が折れてしまう「歯根破折」が見られ、歯を温存することが難しい状態でした。歯根破折は、過去に神経の治療「根管治療」を行っていたり、治療後に歯の厚みが不足していたりなどの理由から、歯の強度が低下することで生じます。

さらに、左上奥歯の手前側の歯には銀の詰め物「インレー」が、左下奥歯にはメタルクラウンが装着されていましたが、いずれも歯にぴったり合っておらず、歯との隙間から虫歯が進行していました。
レントゲンで確認したところ、左下奥には横向きに埋まっている親知らずも認められます。

行ったご提案・治療内容

今回、患者様は揺れているブリッジの部位だけでなくお口全体の治療を希望されたため、噛み合わせの改善を目指すために以下の手順で治療を行うことを提案し、了承いただきました。

①右下のブリッジを切断して取り外し、揺れていた土台の歯(第2大臼歯)、歯根破折していた左上の奥歯(左上第2大臼歯)を抜く。
②抜歯によって欠損状態になる右下奥歯には、顎の骨に人工歯根を埋め込み、その上に被せ物をする「インプラント治療」を行う。
③抜歯によって欠損状態になる左上奥歯には、左下奥に埋まっている親知らず(第3大臼歯)を抜いて移植する。
④不具合があるインレーやクラウンに対しては、歯科用顕微鏡「マイクロスコープ」を用いて歯の神経を取り除き、根管を清潔な状態にする自費診療の「精密根管治療」を行う。

また最終的な被せ物は、患者様と相談のうえ自然な白さが特徴の「セラミック」を使用することに決定しました。

揺れていた右下奥歯は、抜いたあとに2本のインプラントを埋入し、インプラントと骨がしっかり結合したことを確認したあと、インプラントの頭部分を歯ぐきの上に出し、形を整えてから最終的な被せ物を装着します。
また、ブリッジ手前の土台になっていた歯も、単独でセラミックを被せる治療を行いました。

歯根破折していた左上奥歯を抜いたあとは、まず移植に使用する左下の親知らずの神経を取り除き、神経が入っていた管をきれいにする処置を行いました。移植する歯に神経が残っていると、移植後に歯がうまく定着しないおそれがあるためです。
加えて、親知らずを少し引っ張り出す処置を行い、抜きやすくしてから抜歯を行いました。
次に、歯が定着するために必要な歯の根を覆っている薄い膜「歯根膜」を傷つけないよう注意しながら、親知らずを左上奥の欠損部分へ移植し、糸とワイヤーでしっかりと固定します。その後、歯と骨が定着したことが確認できてから、被せ物を装着しました。

不具合があるインレーやクラウンに対する精密根管治療では、マイクロスコープを用いて肉眼では見ることが難しい部位を確認しながら、感染した組織や神経を丁寧に取り除きました。
精密根管治療は、一般的な保険適用の根管治療と比べて治療回数が少なく、歯根の病気が発生するリスクを減らせるメリットがあります。

歯の内部をしっかり清掃できたことを確認してから歯の形を整え、それぞれの歯に合った被せ物や詰め物を作製して装着し、治療を終了しました。

治療期間

約2年

費用

約2,500,000円
(精密根管治療・移植・インプラント・セラミック・歯を引っ張り出す矯正処置込み)

術後の経過・現在の様子

術後も良好で、定期検診で予防にも意欲的になっていただきました。

治療のリスクについて

・まれに根管治療後も再治療、外科手術、抜歯などの処置が必要となる場合があります
・治療中まれに器具の破折、被せ物や詰め物など修復物の損傷、歯の破折が起こる場合があります
・治療中や治療後に不快症状が出たり、治療後に痛みや腫れなどが生じたりする可能性があります
・メンテナンスを怠ったり、喫煙したりすると、お口の中に大きな悪影響を及ぼし、インプラント周囲炎などにかかる可能性があります
・治療後に正しい歯磨きやメンテナンスを怠ると、虫歯が再発する場合があります
・噛み合わせや歯ぎしりが強い場合、セラミックが割れる可能性があります

治療前詳細

治療中詳細

治療後詳細