2024/02/16
はじめに
この記事では、マイクロスコープを使用することにより、どのように歯科治療の精度が向上するのか、そしてそれを提供する歯医者をどのように選べば良いかについて解説します。マイクロスコープを使用した治療は、微細な視覚化によって精度の高い診断と治療が可能になり、歯を抜かずに済むケースも増えています。
マイクロスコープとは
ず、マイクロスコープが歯科治療でどのように活用されるのかを紹介します。
マイクロスコープを利用することで非常に細かい部分を詳細に観察することが可能になります。特に根管治療(根の治療)、虫歯治療、歯周病治療、補綴物(クラウン、ブリッジなど)の精密な作業が必要な歯科治療において有効です。治療の質を向上させるだけでなく、治療後の回復期間を短縮したり、患者さんの不快感を減少させるなど、患者さんにとっても多くのメリットがあります。
マイクロスコープを使用した治療の種類
根管治療
虫歯治療
歯周病治療
マイクロスコープを使用した歯科治療は、その高い拡大率と明瞭な視野により、歯科医師がより精密な治療を行うことを可能にします。以下に、主な治療種類とその具体的な内容について説明します。
①根管治療
根管治療は、歯の内部(歯髄)の感染や炎症を取り除き、歯を保存する治療です。マイクロスコープを使用することで、非常に細かい根管内部を明確に視認でき、感染組織の除去、根管の形成、充填がより正確に行えます。これにより、治療の成功率が高まり、再感染のリスクを低減します。
②虫歯治療
虫歯治療では、マイクロスコープを用いることで、虫歯の除去が正確に行えます。特に、初期の虫歯や見た目では判断しにくい細かな虫歯も確実に発見し、健康な歯を極力残しながら虫歯部分のみを取り除くことができます。また、詰め物や被せ物(クラウン)をする際に削る量を少なくすることができたりと精度も向上し、より自然で機能的な仕上がりを期待できます。
③歯周病治療
歯周病治療では、マイクロスコープを使用して歯肉のポケット内部や歯根の表面を詳細に観察します。これにより、プラークや歯石の除去、滑らかな歯根表面の再形成がより精密に行え、歯周病の進行を効果的に抑えることが可能です。また、歯周組織の再生治療においても、マイクロスコープは重要な役割を果たします。
マイクロスコープを使用したこれらの治療は、従来の方法に比べて、より詳細な視覚情報を基にして行われるため、治療の精度と成功率を大幅に向上させることができます。
歯を抜かない治療法のメリット
マイクロスコープを使用することで、より正確な診断が可能になり、結果として歯を抜かなくて済むケースが増える理由を解説します。
歯を抜かずに済むケースが増える主な理由は、マイクロスコープが提供する高解像度の視覚情報にあります。これにより、歯科医師は微細な構造を詳細に観察でき、より正確な診断と効果的な治療計画の立案が可能になります。以下に、歯を抜かない治療法のメリットと、マイクロスコープの利用がもたらす利点を詳しく説明します。
①正確な診断が可能になる
マイクロスコープを用いることで、歯や歯周組織の微細な異常も見逃さずに診断できるため、早期の虫歯や微小な根管の問題、初期の歯周病など、従来の方法では発見が難しかった問題も検出できます。これにより、必要以上に歯を削ったり、抜いたりすることなく、保存的な治療で問題を解決できるケースが増えます。
②歯を保つことの重要性
歯を抜かないで済む治療は、患者にとって多くのメリットをもたらします。自分の歯をできるだけ長く保つことは、咬み合わせの安定、顔貌の維持、そして将来的により複雑で高価な治療を避けることにつながります。自然な歯は、最も優れた咬合機能を提供し、食事や会話においても自然な感覚を保つことができます。
③歯を抜かない治療法のメリット
・咬み合わせの保持: 自然な歯を保つことで、咬み合わせのバランスを維持し、顎関節の問題を防ぎます。
・審美性の向上: 自分の歯を保つことは、審美的な観点からも理想的です。自然な歯は、見た目が最も自然で、人工物では再現が難しい細かな色や形を持っています。
・経済的: 初期の問題を保存的な方法で治療することは、長期的に見て、歯を抜いてブリッジやインプラントを入れるよりも経済的です。
まとめ
マイクロスコープを使用した治療は、これらのメリットを最大化するための鍵となります。より少ない侵襲で正確な治療を行うことができるため、患者の不快感を最小限に抑え、治療後の回復期間も短くすることができます。歯を保つことの重要性は、単に機能的な側面だけでなく、全体的な健康と生活の質の向上にも関わっています。
この記事が、高精度な歯科治療を求める方の参考になれば幸いです。
※保険診療の場合、マイクロスコープは使用していません。ご了承ください。
当院のマイクロスコープ治療の様子
当院の根管治療の症例
https://www.takeuchidental.com/blog/2023/11/27/1438/
https://www.takeuchidental.com/blog/2023/07/07/1298/
この記事の監修
武内歯科医院 院長 武内 清隆
当院では、お口の中の健康とお口周りの美しさをトータル的に考えた治療を心がけています。歯科医院の目的は、虫歯・歯周病の歯の治療です。しかし最も力を入れるべきことは、虫歯や歯周病にならないための予防指導だと考えます。
プラークコントロールや歯の健康診断を定期的に受けることで大切な歯を守れるのです。丈夫で健康な歯は、何でも美味しく食べることができ、いつまでも若々しい口元と笑顔を保てます。当院の指導で、ご自分の歯で末永く健康にいきいきお過ごしいただきたいと思っています。
【経歴】
1994年
東京歯科大学卒
1994年
武内歯科医院勤務
1994年
林歯科医院勤務
1996年
林歯科医院退職
1996年
葉山町武内歯科医院勤務
2000年
葉山町武内歯科医院退職
2000~2001年
聖路加病院口腔外科研修
2014年
武内歯科医院継承
【取得資格】
日本歯周病学会認定医
日本顎咬合学会咬み合わせ認定医
日本顎咬合学会一般口演優秀発表賞受賞
【所属学会】
日本歯周病学会
日本顎咬合学会
日本顕微鏡歯科学会
日本歯内療法学会
【論文】
2005年
日本顎咬合学会誌 噛み合わせの科学25巻『機能的な歯列構築への追求』
2005年
JCPG会報『エムドゲイン ゲルを用いた歯周治療』
2013年
日本歯科評論誌3月号『IPS e.max臨床応用のポイント』
【学会誌】
2005年
日本顎咬合学会誌 噛み合わせの科学25巻『機能的な歯列構築への追求』