2024/11/21
「虫歯がひどくて歯が取れてしまった」とご相談いただきました。
拝見したところ、右上の奥歯には歯の神経にまで達する大きな虫歯が生じていました。さらに、虫歯は歯を支える骨の下の深部まで達しており、歯も欠けている状態です。
このまま放置すると、細菌感染が周りの歯や骨にまで広がり、ほかの健康な歯も虫歯になったり、最悪の場合、歯を失ったりするおそれがあります。
そのため早急に抜歯するか、もしくは保存するための治療が必要と診断しました。
虫歯は歯の根の内部にまで進行しており歯も欠けていることから、虫歯治療後は歯ぐきから出ている歯の部分が3mm未満になると考えられました。この状態では被せ物を装着することが難しく、一般的には抜歯が推奨されるケースです。
しかし、患者様は歯を抜かずに温存することを希望されています。
そのため、歯を残しながら治療する方法として、以下3つの手順で行う計画を提案し、同意いただきました。
①部分矯正で右上奥歯の歯の根を引っ張り出す
歯の根を露出させることで被せ物を装着する土台を確保でき、抜歯を回避することが可能です。
また、抜歯を行わないため傷が生じず、細菌感染のリスクが低減し、その結果、治療後も良好な状態を保てます。
②歯科用顕微鏡「マイクロスコープ」を用いて細菌感染を起こしている根の内部を清掃する自由診療「精密根管治療」を行う
マイクロスコープは、肉眼では見えにくい部分も正確に確認しながら処置できます。そのため、一般的な保険適用の根管治療と比べて治療回数が少なく済み、再治療のリスクを軽減できるメリットがあります。
③「セラミック」の被せ物を装着する
精密根管治療を施した歯に被せ物を装着するための土台を作ります。その後、自然な色合いで、汚れも付着しにくい自由診療の素材「セラミック」の被せ物を装着します。
まず、部分矯正により右上奥歯を被せ物が装着できる高さまで十分に引き上げます。
歯がしっかりと引き上げられた段階で精密根管治療を行い、マイクロスコープで感染部分を観察しながら丁寧に除去し薬を詰めました。
次に安定した被せ物を装着するための土台を整え、型取りを行っています。その後、完成したセラミックの被せ物を装着し、治療を終了しました。
約280,000円
(部分矯正、精密根管治療、土台、型取り、被せ物含む)
術後は定期的なメンテナンスに来ていただいています。
・まれに根管治療後も再治療、外科手術、抜歯などの処置が必要となる場合があります
・治療中まれに器具の破折、被せ物や詰め物など修復物の損傷、歯の破折が起こる場合があります
・一部の治療を除き、自費診療(保険適用外)です
・歯の移動に伴って、違和感や痛みを感じる場合があります
・硬い素材の場合、他の天然歯を傷つけることがあります
・噛み合わせや歯ぎしりが強い場合、セラミックが割れる可能性があります