2024/06/18
「前歯が痛くて耐えられないので治療したい」とご相談いただきました。
痛みの原因を調べるためレントゲン撮影で詳しく確認したところ、右上の前歯(側切歯/2番)の根の周りに、直径2センチの球状の膿の袋が見られ、根の周りに膿がたまる「根尖病巣」が生じていました。
今回の場合、歯の神経が細菌感染したことで歯の根の周りの組織が炎症を起こし、根尖病巣ができたと考えられます。
このまま放置すると根尖病巣が徐々に広がり、歯を残すことが難しくなる可能性があることから、痛みを取り除き、歯を温存するため歯の神経を除去して神経の管をきれいに清掃する「根管治療」が必要と診断しました。
診断内容を丁寧に説明したうえで、歯科用顕微鏡「マイクロスコープ」を用いた自費診療の「精密根管治療」を提案し、同意いただきました。
精密根管治療は、肉眼では観察が難しい部位をしっかり確認しながら処置できるため、一般的な保険の根管治療と比べ治療回数が少なく済み、根尖病巣の再発率も低くなるといったメリットがあります。
まず、歯の裏側を削り小さな穴を開け、マイクロスコープを使用した精密根管治療で歯の神経や感染した組織を丁寧に取り除き、歯の内部がきれいになったことを確認してから薬を詰めました。
その後、削った穴に白いプラスチック樹脂の材料「コンポジットレジン」をしっかり埋めて経過を観察し、治療を終了しました。
約100,000円
精密根管治療により歯を残すことができ、痛みもおさまりました。
掲載している治療後の画像は、根管治療から1年後の経過観察の際に撮影したものですが、直径2センチの膿の袋(治療前画像の黒い影になっている部分)がなくなっていることがわかります。
患者様からは「前歯の激しい痛みがなくなってよかった」と大変お喜びいただきました。
現在は、メンテナンスで定期的に通院いただいています。
・まれに根管治療後も再治療、外科手術、抜歯などの処置が必要となる場合があります
・治療中まれに器具の破折、被せ物や詰め物など修復物の損傷、歯の破折が起こる場合があります
・治療中や治療後に不快症状が出たり、治療後に痛みや腫れなどが生じたりする可能性があります
・強い力や衝撃が加わった場合、コンポジットレジンが割れたり欠けたりする可能性があります
・一部の治療を除き、自費診療(保険適用外)です
2024/06/18
根管治療は、虫歯が進行して歯の神経まで達した場合や、歯の内部が感染した場合に行われる治療です。この治療法は歯を抜かずに保存するための重要な手段です。最近では、より精度の高い「精密根管治療」が注目されています。この記事では、精密根管治療の詳細や治療期間、そして自費治療について詳しく解説します。
根管治療は、歯の内部にある神経や血管が感染したり、死んだりした場合に行う治療です。根管(歯の内部の細い管)を清掃し、消毒した後、再び感染しないように充填します。この治療により、感染が広がるのを防ぎ、歯を抜かずに保存することが可能です。
精密根管治療は、従来の根管治療よりも高い精度で行われる治療法です。歯科用マイクロスコープや高性能な器具を使用して、細部まで確認しながら治療を行います。このため、治療の成功率が高くなり、再感染のリスクが減少します。
高い成功率
精密根管治療は、マイクロスコープを使用することで、細かな部分まで確認しながら治療を行うため、治療の成功率が非常に高くなります。
再感染のリスクが低い
高精度で治療を行うため、再感染のリスクが低くなります。従来の根管治療と比べて、長期的な安定性が期待できます。
痛みや不快感の軽減
精密な治療により、痛みや不快感が軽減されることが多いです。麻酔技術の進歩もあり、治療中の痛みも最小限に抑えられます。
精密根管治療は、保険適用外の自費治療となる場合が多いです。自費治療の費用は、使用する器具や技術の高度さに応じて高額になることがあります。以下に自費治療のポイントをまとめました。
費用の目安
精密根管治療の費用は、1本あたり10万円から20万円程度が一般的です。治療の難易度や使用する材料、クリニックの場所によって異なります。
治療の質
自費治療では、最新の機器や材料を使用するため、治療の質が高くなります。特に精密根管治療では、高性能なマイクロスコープやレーザー機器を使用することで、成功率が向上します。
保証とアフターケア
多くの自費治療クリニックでは、治療後の保証やアフターケアが充実しています。治療後に問題が発生した場合でも、適切な対応が受けられることが多いです。
精密根管治療の治療期間は、通常の根管治療と比べて長くなることがあります。以下に治療の流れと期間の目安を示します。
初診と診断
初診では、歯の状態を確認し、根管治療が必要かどうかを診断します。レントゲンやCTスキャンを使用することが多いです。
治療計画の立案
詳細な治療計画を立て、患者さんに説明します。治療の流れや期間、費用についてもここで確認します。
根管の清掃と消毒
最初の治療では、根管内を清掃し、感染した組織を除去します。消毒も行い、再感染を防ぐための準備をします。この段階は1〜2回の通院が必要です。
根管の充填
根管内をしっかりと消毒した後、再感染を防ぐために根管を充填します。この段階でも1〜2回の通院が必要です。
最終修復
根管治療が完了した後、クラウン(被せ物)などで歯を修復します。この段階でさらに1〜2回の通院が必要です。
全体の治療期間は、約1ヶ月から3ヶ月程度が一般的です。歯の状態や治療の進行具合によって、期間は変動します。
根管治療とは、歯の内部の感染を除去し、歯を保存するための治療です。特に精密根管治療は、マイクロスコープや高性能な器具を使用することで、高い成功率と再感染のリスク低減を実現します。自費治療となる場合が多いですが、治療の質やアフターケアが充実しているため、安心して治療を受けることができます。
治療期間は約1ヶ月から3ヶ月程度で、初診から最終修復まで数回の通院が必要です。精密根管治療を受けることで、長期的に健康な歯を維持できる可能性が高まります。この記事が、根管治療を検討している方の参考になれば幸いです。歯の健康を守り、快適な生活を送るために、適切な治療を選びましょう。
※保険診療の場合、マイクロスコープは使用していません。ご了承ください。
当院のマイクロスコープ治療の様子
当院の根管治療の症例
https://www.takeuchidental.com/blog/2023/11/27/1438/
https://www.takeuchidental.com/blog/2023/07/07/1298/
この記事の監修
武内歯科医院 院長 武内 清隆
当院では、お口の中の健康とお口周りの美しさをトータル的に考えた治療を心がけています。歯科医院の目的は、虫歯・歯周病の歯の治療です。しかし最も力を入れるべきことは、虫歯や歯周病にならないための予防指導だと考えます。
プラークコントロールや歯の健康診断を定期的に受けることで大切な歯を守れるのです。丈夫で健康な歯は、何でも美味しく食べることができ、いつまでも若々しい口元と笑顔を保てます。当院の指導で、ご自分の歯で末永く健康にいきいきお過ごしいただきたいと思っています。
【経歴】
1994年
東京歯科大学卒
1994年
武内歯科医院勤務
1994年
林歯科医院勤務
1996年
林歯科医院退職
1996年
葉山町武内歯科医院勤務
2000年
葉山町武内歯科医院退職
2000~2001年
聖路加病院口腔外科研修
2014年
武内歯科医院継承
【取得資格】
日本歯周病学会認定医
日本顎咬合学会咬み合わせ認定医
日本顎咬合学会一般口演優秀発表賞受賞
【所属学会】
日本歯周病学会
日本顎咬合学会
日本顕微鏡歯科学会
日本歯内療法学会
【論文】
2005年
日本顎咬合学会誌 噛み合わせの科学25巻『機能的な歯列構築への追求』
2005年
JCPG会報『エムドゲイン ゲルを用いた歯周治療』
2013年
日本歯科評論誌3月号『IPS e.max臨床応用のポイント』
【学会誌】
2005年
日本顎咬合学会誌 噛み合わせの科学25巻『機能的な歯列構築への追求』
2024/05/26
「前歯が折れてしまった。目立つのできれいに治したい」とご相談いただきました。
拝見したところ、右上の前歯(中切歯/1番)は歯ぐきの中にある歯の根っこ部分にまでヒビが入り折れた状態の「歯根破折」でした。
歯根破折は、過去に虫歯などで神経の治療「根管治療」を行っていたり、治療後の歯の厚みが足りていなかったりなど、歯の根の強度が低下していることが原因で生じます。
さらに、左上の奥歯(第2大臼歯/7番)は歯が抜けたままの状態で、噛み合わせを補うことなく放置されていたため、両側でバランスよく噛むことができていませんでした。
また、右下の奥には噛み合わせに関与していない親知らず(第3大臼歯/8番)が確認できました。
折れた右上の前歯(中切歯)は、歯根のヒビから細菌が入り込み歯ぐきに炎症を起こしたり痛みが出たりする可能性が高いことから、抜歯の必要があります。
抜歯後の前歯と欠損している左上の奥歯(第2大臼歯)を補うため、人工歯根を顎の骨に埋めその上に被せ物をする「インプラント」治療、もしくは左上の奥歯は右下の親知らずを抜いて移植する方法を提案したところ、患者様は「奥歯はインプラントではなく自分の歯で治したい」と希望され、前歯はインプラント、奥歯は移植による治療に同意いただきました。
右上の前歯は抜歯後にインプラントを埋入し、インプラントと骨がしっかり結合したことを確認後、インプラントの頭部分を歯ぐきの上に出して被せ物を装着できるよう形を丁寧に整え、治療開始から半年後に最終的な被せ物を装着しています。
左上の奥歯の治療として、まず移植に使用する右下の親知らずの神経を取り除き、神経が入っていた管をきれいにする処置を行いました。
これは移植する歯に神経が残っていると、移植後に歯がうまく定着しない可能性があるためです。
加えて、親知らずを少し引っ張り出す処置を施し歯を抜きやすくするとともに、歯が定着するために必要な「歯根膜」を温存して、移植が成功するよう努めました。
次いで、左上の欠損した部位に親知らずを移植するための穴を作り、抜歯した親知らずをその部分に埋入し、糸とワイヤーで固定しました。
移植した歯が定着し問題なくしっかり噛めるか確認したうえで、移植から1年後、最終的な被せ物を装着して治療を終了しました。
約600,000円
前歯、奥歯ともに治療部分の痛みや違和感はなく、噛み合わせも改善しました。
患者様には「気になっていた前歯と奥歯がきれいになってうれしい。しっかり噛める」と大変ご満足いただきました。
現在は半年に一度のメンテナンスで来院いただき、経過を観察しています。
・外科手術のため、術後に痛みや腫れ、違和感を伴います
・メンテナンスを怠ったり、喫煙したりすると、お口の中に大きな悪影響を及ぼし、インプラント周囲炎などにかかる可能性があります
・糖尿病、肝硬変、心臓病などの持病をお持ちの場合、インプラント治療ができない可能性があります
・高血圧、貧血・不整脈などの持病をお持ちの場合、インプラント治療後に治癒不全を招く可能性があります
・外科処置後に痛みが長引く場合があります。必要に応じ痛み止めを併用します
・自費診療(保険適用外治療)です
2024/05/26
「前歯が痛くて耐えられないので治療したい」とご相談いただきました。
痛みの原因を調べるためレントゲン撮影で詳しく確認したところ、右上の前歯(側切歯/2番)の根の周りに、直径2センチの球状の膿の袋が見られ、根の周りに膿がたまる「根尖病巣」が生じていました。
今回の場合、歯の神経が細菌感染したことで歯の根の周りの組織が炎症を起こし、根尖病巣ができたと考えられます。
このまま放置すると根尖病巣が徐々に広がり、歯を残すことが難しくなる可能性があることから、痛みを取り除き、歯を温存するため歯の神経を除去して神経の管をきれいに清掃する「根管治療」が必要と診断しました。
診断内容を丁寧に説明したうえで、歯科用顕微鏡「マイクロスコープ」を用いた自費診療の「精密根管治療」を提案し、同意いただきました。
精密根管治療は、肉眼では観察が難しい部位をしっかり確認しながら処置できるため、一般的な保険の根管治療と比べ治療回数が少なく済み、根尖病巣の再発率も低くなるといったメリットがあります。
まず、歯の裏側を削り小さな穴を開け、マイクロスコープを使用した精密根管治療で歯の神経や感染した組織を丁寧に取り除き、歯の内部がきれいになったことを確認してから薬を詰めました。
その後、削った穴に白いプラスチック樹脂の材料「コンポジットレジン」をしっかり埋めて経過を観察し、治療を終了しました。
約100,000円
精密根管治療により歯を残すことができ、痛みもおさまりました。
掲載している治療後の画像は、根管治療から1年後の経過観察の際に撮影したものですが、直径2センチの膿の袋(治療前画像の黒い影になっている部分)がなくなっていることがわかります。
患者様からは「前歯の激しい痛みがなくなってよかった」と大変お喜びいただきました。
現在は、メンテナンスで定期的に通院いただいています。
・まれに根管治療後も再治療、外科手術、抜歯などの処置が必要となる場合があります
・治療中まれに器具の破折、被せ物や詰め物など修復物の損傷、歯の破折が起こる場合があります
・治療中や治療後に不快症状が出たり、治療後に痛みや腫れなどが生じたりする可能性があります
・強い力や衝撃が加わった場合、コンポジットレジンが割れたり欠けたりする可能性があります
・一部の治療を除き、自費診療(保険適用外)です
2024/04/22
歯の痛みや不快感は、日常生活に大きな影響を与えます。特に根管治療が必要とされる場合、多くの人が恐怖や不安を感じることがあります。しかし、最近の歯科技術の進歩により、これらの不快感を大幅に軽減し、効率的かつ正確に治療を行う方法が登場しました。その鍵を握るのが「マイクロスコープ」を使用した「根管精密治療」です。
根管精密治療とは?
根管治療、一般に「根の治療」と呼ばれるこの手法は、歯の根にある神経や血管が集まる部分(歯髄)が感染した場合に行われます。従来の治療法では、この繊細な部分を正確に扱うことが難しく、再治療が必要になるケースも少なくありませんでした。
しかし、「マイクロスコープ」の導入により、これまでにない精度での治療が可能になりました。マイクロスコープを使用することで、歯科医師は根管内部を高解像度で観察しながら治療を行うことができ、非常に細かい部分まで正確に処理することが可能です。
マイクロスコープが変える治療の品質
マイクロスコープの最大のメリットは、その精密さにあります。根管内の細かな裂け目や隠れた感染部位を明確に見ることができるため、治療の成功率が大幅に向上します。これは、治療時間の短縮にもつながり、患者さんの負担を減らすことも可能になります。
また、マイクロスコープを使用した治療では、歯をできるだけ保存しながら、感染を根本から除去することが可能です。これにより、歯の機能を長期にわたって維持することができ、結果的に歯の健康と美しさを保つことに繋がります。
根管治療 の精度 |
被せ物 の精度 |
根管治療 成功率 |
|
---|---|---|---|
根管治療 Case.1 |
自費の 根管治療 |
自費 (精密な) 被せ物 |
91.4% |
根管治療 Case.2 |
保険の 根管治療 |
自費 (精密な) 被せ物 |
67.6% |
根管治療 Case.3 |
自費の 根管治療 |
保険の 被せ物 |
44.1% |
根管治療 Case.4 |
保険の 根管治療 |
保険の 被せ物 |
18.1% |
上記の表は、根管治療の臨床結果を基にし、歯科業界で広く認知されているデータを示しています。根管治療の成功率は、自費診療と保険診療の根管治療、およびそれに伴うかぶせ物の選択によって、顕著に異なります。
保険診療の場合、利用できる機器や薬品に制限があり、患者一人ひとりに充分な治療時間を割くことが難しいため、高品質な治療を提供するのが困難です。これが、再発率の上昇につながります。この事実に鑑み、当院では患者様に自費診療による高精度な治療を推奨しています。
また多くの患者さんにとって歯の痛みは耐え難いものですし、日常生活に支障をきたします。根管精密治療は、この痛みを早期に、かつ根本から解消することを目指し、マイクロスコープを活用することで、治療の正確性が飛躍的に向上し、結果として治療期間の短縮にも繋がるのです。
まとめ
マイクロスコープの使用による高精度な治療は、患者さんの痛みや不快感を最小限に抑え、かつ治療期間を短縮することが可能です。これから歯科治療を受ける方が、より安心して治療を受けることができます。
※保険診療の場合、マイクロスコープは使用していません。ご了承ください。
当院のマイクロスコープ治療の様子
当院の根管治療の症例
https://www.takeuchidental.com/blog/2023/11/27/1438/
https://www.takeuchidental.com/blog/2023/07/07/1298/
この記事の監修
武内歯科医院 院長 武内 清隆
当院では、お口の中の健康とお口周りの美しさをトータル的に考えた治療を心がけています。歯科医院の目的は、虫歯・歯周病の歯の治療です。しかし最も力を入れるべきことは、虫歯や歯周病にならないための予防指導だと考えます。
プラークコントロールや歯の健康診断を定期的に受けることで大切な歯を守れるのです。丈夫で健康な歯は、何でも美味しく食べることができ、いつまでも若々しい口元と笑顔を保てます。当院の指導で、ご自分の歯で末永く健康にいきいきお過ごしいただきたいと思っています。
【経歴】
1994年
東京歯科大学卒
1994年
武内歯科医院勤務
1994年
林歯科医院勤務
1996年
林歯科医院退職
1996年
葉山町武内歯科医院勤務
2000年
葉山町武内歯科医院退職
2000~2001年
聖路加病院口腔外科研修
2014年
武内歯科医院継承
【取得資格】
日本歯周病学会認定医
日本顎咬合学会咬み合わせ認定医
日本顎咬合学会一般口演優秀発表賞受賞
【所属学会】
日本歯周病学会
日本顎咬合学会
日本顕微鏡歯科学会
日本歯内療法学会
【論文】
2005年
日本顎咬合学会誌 噛み合わせの科学25巻『機能的な歯列構築への追求』
2005年
JCPG会報『エムドゲイン ゲルを用いた歯周治療』
2013年
日本歯科評論誌3月号『IPS e.max臨床応用のポイント』
【学会誌】
2005年
日本顎咬合学会誌 噛み合わせの科学25巻『機能的な歯列構築への追求』